MASログ

MASログTOPへ
ようこそ四十路ランドへ!

冬うた

あまりにも寒くて帰ることしか考えられなくなる時、俺の頭の中に流れて来るのは
『冬が来る前に/紙ふうせん』
♪冬が来る前に もう一度あの人と めぐり逢いたい〜
あの人に再会出来れば良いのではない。出会った頃の、あの人に対するトキメキを取り戻したいのよ。
恋慕う気持ちが冷めてしまった。
景色が色褪せ、寒さに体を縮ませるように、冬の到来は私の心をいっそう凍えさせることでしょう。
そんな意味合いが“めぐり逢いたい”という言葉に凝縮されているのだろう。
などと考えながら、これからの雪に閉ざされる季節を思って勝手に焦る。


ただしんしんと降り続ける雪の中、黙々と歩いている時思い出すのは
『DEPARTURES/globe』
♪どこまでも限りなく 降りつもる雪とあなたへの想い〜
雪国のコンビニ店員は雪掻きも仕事のうちだが、店の中で密かに芽生える恋もあった。
やがて男は別れを選び、止むことのない雪と胸の痛み、そして悲痛にも聞こえるこの曲を重ね合わせ、号泣していた。
数年後、何故か2人は出来ちゃった婚をすることになり、俺も披露宴に招待された。
子供はすくすく育つ一方、夫婦仲はどんどん悪くなり、離婚。
そんな友人のエピソードが、何か煮え切らないものとして蘇って来る。


もはや雪が生活の障害にしか感じられず、しかも容赦ない降り様に辟易する時シンクロするのは
『雪/姫神(岩手出身)』
♪ふってきた ふってきた もんもとふってきた
 ゆ〜ぎ〜ふ〜る〜!!

溜息から逆ギレに繋がるような展開、そして東北弁が心情にピッタリ。
そういえば冬の間は独り言が多いかもしれない。


大気も街も車の流れも、全てが凍り付いて、ただただ辛い時は
音楽なんか思い浮かばない

2005年12月12日 02:39 
娯楽 (音楽・読書) | comments(0) |

いわゆるオッサンの癒シンス 2

家に帰ってから、レンタルしていた大人用DVD2枚を速攻でダビングし、返却しに行った。
ツタヤでは「CDアルバム5枚で千円」キャンペーンをやっていた。
コレクションしたい曲は山ほどあるが、どうしても借りたいアルバムなんてのはほとんどない。このまま帰っても良い。

でも最近は、無音の部屋の中でウトウトしながらネットするという病的な生活を送っていたので、変化を付けようと思った。
そして借りたのは「アディエマス」のベストアルバムと、「うしろゆびさされ組」のベストアルバム。我ながらマニアックチョイス。


ベスト・オブ・アディエマスCDベスト・オブ・アディエマス
NHK番組や「オーラの泉」では随所で使われるアディエマス。
同系列としては「エンヤ」や「エニグマ」が挙げられるだろうか。

俺はこのグループを癒し系音楽集フィールで知り、カルト系映画「コンセント」のエンディング曲のハマリっぷりに感銘を受け、いつかはちゃんと聞きたいと思っていたのだった。

このベスト盤には馴染みのある曲と、全く聞いたことのない曲が詰まっていて満足だった。
時にはケルティック、時にはアフリカン、時にはブルガリアン風に、形式にとらわれない様々な曲調に乗って架空言語「アディエマス語」が展開。

ハイトーンの声が同時に重なり合う様は、植物が日差しを浴びて一斉に芽生えるような明るいイメージを受ける。
つまり人間が狭い世界で争い合って来たことや、頑張って来たこととは別次元の“いのち”の高潔さのようなものが感じられて胸を打たれるのだ。(大ゲサ)

アディエマスは映画「AKIRA」のサントラを作った芸能山城組と思想や追究法が似ているので、そっち方面に興味のある人には是非聞いてもらいたいと思う。



85-87 ぼくらのベスト うしろゆび大百科 package1 うしろゆびさされ組CD85-87 ぼくらのベスト うしろゆび大百科 package1
アニメのOP曲とED曲が頻繁に変わるようになったのは「奇面組」が最初だった気がする。
それでいて、奇面組のキャラと上手く重なって、どの曲も印象に強く残っているのだからスゴイ。
「渚の『・・・・・』(かぎかっこ)」は特に良かったなぁと時々思い返してしまう。

小学生当時は、う組はおニャン子からの独立ユニットで、工藤静香とは違うのはうっすら判っていたが、それが高井麻巳子&ゆうゆだとは今の今まで知らなかった。
このベスト盤(2枚組)のレンタル開始は2004年5月と書いてあるが、人に借りられた形跡(傷・汚れ)が一切無いのには笑ってしまった。懐メロに飢えているのは俺だけなのか。

“大百科”だけに、曲名のアイウエオ順に収録されていた。つまり「あぶないサ・カ・ナ」の次は「∞ (あんりみってっど)」なワケで、それらと初対面な俺にとっては、いかにも80年代アイドル的な楽曲の連続はなかなかの苦痛だった。

それでもやはり奇面組直系の曲が来ると盛り上がる。
3年奇面組 (1)「象さんのすきゃんてぃ」「のっとおんりぃ★ばっとおるそう」「バナナの涙」のサビの部分とかはフツーに歌えるし、「女学生の決意」でマジ泣きしそうになった。

意味深&ちょっぴりHな歌詞と、キャッチーなメロディーが心地良く、若い2人のハーモニーに甘酸っぱい気持ちがみなぎった。

作詞した秋元康については、高井との結婚も含めて結構尊敬していたが、映画「着信アリ」のヒドさに嫌いになってしまっていた。
ところが俺のブログの記事タイトルが秋元センスに近い、というか80年代系かもしれないと気付いて、軽くショックを受けた。



おまけ:エンディング曲って略してED曲で良いんだっけ? と思って検索中に見つけたサイト
ドラゴンボールZのED曲を逆再生すると、あるメッセージが・・・

2006年06月22日 03:52 
娯楽 (音楽・読書) | comments(3) |

読書:30歳から人生が変わる黄金ルール

30歳から人生が変わる黄金(ゴールデン)ルール翌日は仕事なので、新幹線の中で寝てリズムを崩したくないと思い、キオスクで本を買うことにした。
写真週刊誌で、女子アナや亀○兄弟のゴシップ記事を読むのも悪くないが、それでは普段の立ち読みと変わらない。
もう少し実のあるものをと手にしたのがこの本、『30歳から人生が変わる黄金(ゴールデン)ルール』 だった。
著者:服部 英彦
PHP文庫/205ページ/8月2日発刊/¥500


◆魅かれた項目をピックアップ◆
第一章 30歳からフトコロを豊かにする経済戦略
〜お金で解決できること、できないこと〜
・「できちゃった婚」 だから”できちゃった”
・持家か、賃貸か、マンションか、一戸建てか、それが問題だ
・夢を実現するには勝負が必要
・「次の職場」 の事ばかり考えている人にお金はついてこない

第二章 30歳から円満な家庭生活をおくる家族戦略
〜幸せな家庭を築くこと=一足先に天国を体験すること〜
・近所の旦那と比べる女性とは結婚するな

第三章 30歳から実力を加速度的にアップさせる仕事戦略
〜優れた能力も磨かなければ意味がない〜
・部下から 「忙しそうだ」 と見られたら終わり
・三十代の 「リストラ」 トップ候補生
・青い鳥を探して”遭難”
・「人に任せる」 のと 「自分でやる」 の見極めを

第四章 30歳から世間で注目される人になるデビュー戦略
〜こうすれば 「会社を超えた存在」 になれる〜
・「飛びおりたらすでに着地パターン」 でデビュー
・「起業バカ一代」 やってみたら地獄だった

第五章 30歳から真の実力を世に問う成功戦略
〜嘆きの人生を楽しみの人生に〜
・いい習慣がいい人生をつくる
・「グチ」 が出るのは 「理想」 を持っているからである
・人は自分のためだけでは本気になれない
・気づかないうちに 「心のブレーキ」 を踏んでいないか
・人に変わってもらおうと思えば、まず自分が変われ
・「勝ちパターン」 をつくれ


基本的には成功・失敗談2ページと、その解説2ページで構成されている。
会社のことも、世の中のことも、体調管理の仕方もわかって来る30歳。
人生において、30代が最も能率が上がる時期であり、変えるチャンスなのだ、という切り口の本。
俺は今の仕事は1年以内に契約が切れて、新しい人生を構築する必要がある。
かと言って読書好きでもないので、この機会に一気に読破した。
(隣の席の兄ちゃんは楽しそうにジャンプを読んでいた)


◆印象に残った文章 (一部要約) ◆
・よく、若い間は駅に近い便利なマンションを買っておいて、何年かたってから一戸建てに買い替えるのが良いという話があるが、売りたい時に相手がなかなかいないのが不動産でもある。

・東大生を持つ父親のほとんどは、自分の机を持っている。子供に100万回 「勉強しろ!」と言うよりも、親が机で勉強している姿を見せる方が、子供に多くを語るのである。

・故中島らもさんの原作で映画になった 『お父さんのバックドロップ』 という作品がある。この映画を見終わって、しばらく席から立ち上がれないお父さんが映画館に続出したという。そう、涙でグシャグシャになってである。(悪役プロレスラーのお父さんの話)

・新幹線や飛行機に乗っているビジネスマンを見ていると、色々な事がわかる。ひたすらに普段の睡眠不足を補うかのように居眠りをする人、缶ビール片手に早速同僚達と宴会を始める人……、実に様々だが、総じて言えることは、新幹線ならグリーン車、飛行機ならばクラスJやビジネスクラスに坐っている人ほど、本や新聞、資料等を始終読んでいる率が圧倒的に高いということである。

・人間を動かすのは脳からの指令である。人間の頭の良し悪しや、仕事の成否を決めるもの、それは脳の出来である。人間誰しも平等に140億の脳細胞を持っている。ただ、その140億の脳細胞のうち、多くの人は2〜3%程度を使っているにすぎない。 
脳を使うとは、脳細胞と脳細胞をつなぐ脳神経回路を正しく高速に大量につなげることである。脳神経回路をつなぐ作業とは、すなわち習慣化することである。
正しい習慣を持てば、正しい脳回路ができ、誤った習慣を持てば、誤った脳回路ができ上がる。脳回路、すなわち習慣が変われば、最終的に運命と人生が変わる。

・「自分だけ良し」 を続けていると何がまずいのか。
協力の結集ができなくなる。脳が充分に働かない。心が充実して来ない。

・昔、水俣病公害で付近の漁が禁止になった時、政府が漁師の生活保障のために、とにかく取れた魚は全て買取ることにした。漁師達は喜んだが、1ヶ月も過ぎると、1人2人と病気になっていったという。
なぜならば、自分達が命懸けで取って来た魚が、目の前に掘ってある大きな穴に捨てられる様を、毎日見せつけられたからである。

・組織や集団というのは、感情を持った人間の集まりだから、きれい事だけでは回っていかない局面もあるだろう。
そうした際にも、自分として譲れない一線、原点をしっかり持っていれば、後はどうでもよい条件なのである。条件だから、譲れることはどんどん譲っていけばよい。 
そうすれば自然と周りが協力関係に変わって来る。

・例えば、これから隣のコンビニに行ってジュースを1本買って来いと言われた時と、会社の用事でアフリカに出張して来いと言われた時と、あなたはどちらが簡単で、どちらが難しいと感じるだろうか。
実はこれはどちらも同じ 「難しくない、簡単」 なのである。
1つ1つを 「手と口と足」 を動かすレベルに分解してみれば、普段の生活でやっていることばかりなのである。要は、手と口と足を動かすボリュームが、アフリカの方が大きいだけであって、決して 「高度で難解な事」 をやっているわけではないのである。
つまり、量の多さを質の高さに思い違えてはいけないのである。


読後の感想:「やってやるぜ!」

2006年09月01日 23:30 
娯楽 (音楽・読書) | comments(0) |

ひとりカラオケ

神はアダムに向かって言われた。
「お前は女の声に従い、取って食べるなと命じた木から食べた。
 お前のゆえに、土は呪われるものとなった。
 お前は、生涯食べ物を得ようと苦しむ。
 お前に対して土は茨とあざみを生えいでさせる、野の草を食べようとするお前に。
 お前は顔に汗を流してパンを得る、土に返るときまで。
 お前がそこから取られた土に。塵にすぎないお前は塵に返る。」
――新共同訳聖書――

「女が長生きするのは生理があるからよ。
 毎月汚れた血を出して、新鮮な血を作って巡らせてんだから。」
――美輪明宏――


男らしい平坦な毎日にちょっぴり鬱が溜まったので、独りカラオケに行った。
カラオケ屋にとっては、1人でフリータイム占拠する客なんて有り難くないのだろう。
玄関に1番近い部屋を案内された。

カラオケは好きだし、それなりに自信を持っていたが、今の職場に来てからはカラオケ観が少し変わってしまった。
職場の平均年齢は30代後半で、世代が違うのは仕方ないけれど、
『涙そうそう/夏川りみ』 を歌えば 「もっと若々しいの歌え」 と言われ、
『サウダージ/ポルノグラフィティ』 を歌えば 「そんな曲聞いたことないなー」
などと言われるのだった。

Dragon Ashとか椎名林檎とかの曲は結構好きだし、歌ってて気持ち良い。
だけど一生懸命になるのが恥ずかしい。
中島みゆきとか郷ひろみとかもいくらか覚えてる。
だけど感情を込めなきゃ様にならない。
独りカラオケなのに、いざ人前で歌うならこれは使えるか、あれはどうか、などと模索してしまう俺。

俺の中で、歌うと最も発散出来る曲は 『バニラ/橘いずみ』だ。
♪いい加減にしなさい のぼせてないで
 目を覚ましなさい わきまえなさい
 頭を冷やしなさい
 なんて 何回言われてもわからない
 ふざけんじゃない バカヤロウ!

クライマックスの叫びの所で、廊下に漏れるのを恐れて小声になってしまった。
アダムの子よ、なんと情けない!
そんなこんなで逆にストレスが溜まりそうな気がしたが、3時間も歌い続けたら
疲れてどうでも良くなったとさ。

2006年09月08日 23:38 
娯楽 (音楽・読書) | comments(0) |

読書:人のセックスを笑うな

新聞一面の数々のニュースや広告に混じっていつも主張していて、気になっていたこの本。
「イラクでまた自爆テロ。人のセックスを笑うな、山崎ナオコーラ」
「ホリエモン逮捕。人のセックスを笑うな、山崎ナオコーラ」
「アガリクスでガンから奇跡の生還! 笑うな! ナオコーラ!」

第41回文藝賞受賞、映画化決定、文庫版発売ということで、紹介文を見かけた。
――19歳のオレと39歳のユリ。恋とも愛ともつかぬいとしさが、オレを駆り立てた……美術専門学校の講師・ユリと過ごした日々をみずみずしく描く、切なさ100%の恋愛小説――
不格好な恋愛の話なのだろうとは思っていたけど、歳の差カップルの話なのか、エロいな、と思い、文庫本を買わずにはいられなかった。


★タイトル:『人のセックスを笑うな』(『虫歯と優しさ』併載)
★著者:山崎ナオコーラ/1978年福岡生まれ、埼玉育ち/日記
★解説:「そう簡単なものじゃない、あるいは、この小説の読み方」/高橋源一郎
★データ:河出文庫/160P/¥420/06年10月5日発売
★読み終えるまで:約2時間、胃をキリキリさせながら読んだ。コーヒー1杯、タバコ2本消費。


磯貝みるめと猪熊サユリのイラスト■主人公の磯貝くんについて■
まず、高校卒業後、1年浪人して美専に進むとはどうことなのかを考えてみる。
美専は美大と違い、一般教養の履修がない分、作家の道を突き進もうとしている人にとっては有利である。
逆に言えば、その道で生きるブッチギリの意思と能力がなければ、卒業しても中途半端。
売れる作品を生み出すのは容易ではないし、学歴や資格を問う一般企業への就職は極めて不利。

浪人が嫌で、デザイン系短大に逃げた俺が送った人生なんてウンコそのものである。
初めての就職活動先で、「君は絵を描いたことないね」なんて言われてまいっちんぐである。
この本の主人公、磯貝くんはまだ青春真っ只中だ。
いくらかの経験と自負があり、好きなことを好きなだけやれる環境の中、ちょっとだけ冷めた目で世界や大人を切り取って見せている。
その切り取って出したもの(文章)は、更に分割しても面白いのは、ナオコーラ氏の腕によるものなんだと思う。

自然描写のシーンの中にも、実はヒト同士の関係の比喩が隠されていて、「君たちは何をやっているのか」「自然は美しいことがあるけれど、美しさには向かっていない」 といった自省的視点もあるんじゃなかろうか。



■年上の女について■
俺は9歳上の女性と付き合っていた。彼女は自称、夢見る夢子ちゃんで、態度はユリと同じように可愛らしかった。
そしてユリと同じように、仕事についていつも悩んでいた。(実はどんな年代の女性でも現状に不安感を持っていて、完全に割り切れるのは50代になってからなのではないだろうか、と最近思う俺)

磯貝くんの気持ちはありありと分かるのに、ユリの描写が足りない、何を考えているか解らない、という感想ブログを見たが、年上の女性を不明瞭にすることによって、青春の終わりのもどかしさ・切なさが引き立っているのだと思う。
読み終えて身を引き裂かれる思いをしたが、ユリの態度が変わるのは何処からだっけ、と読み返して見つけたら、胃が腫れて飛び出しそうになった。(大ゲサ)



■映画化について■
(これは映画化の詳しい情報を知る前に書いたものです)
この作品を映画にするのは難しいと思う。
そりゃあインパクトのあるタイトルだし、テキトーに宣伝して、テキトーにタイアップ曲を付ければ観客数は稼げるだろう。夏川結衣がユリ役をやれば、男子はもれなく熟女の魅力を知るだろうと思う。

しかしストーリー自体は、恋愛相談のハガキ一枚に収まるかもしれない位だから、こだわりの映像と音楽でもって、感情に侵入して来るようなものを作り上げて欲しい。
個人的には、森田芳光監督や岩井俊二監督が作ったら、きっと素晴らしいものになるだろうと思う。

でもやっぱり本当は、文章ならではの具体性を大切にして欲しいと思う。
例えば俺は、↓のような細かくてどうでも良いような所がすごく愛おしいと思うのだけれど。
ふざけて書き初めをした。墨がないので、絵の具で画用紙に書いた。ユリは 「反骨精神」 と書き、オレは 「自由」 と書いた。



■エロスについて■
セックス描写はだいぶあっさりとしていた。入れた、動かした、そんな感じ。
当然ながら、ビラビラの着色具合を観察するような表記は無い。
だからこそ、ヒトが頻繁にやりたがるセックスとは何か、一体恋愛って何なのかを考えさせられる。

この本を最も象徴しているのは↓の箇所なのではないかと思う。
セックスというのは想像上のものだ。触っているから気持ち良いのではなく、触っていると考えるから気持ち良いのだ。

情熱を持て余した現代人にとっては、食事と同じ位に必要な行為になってるんじゃないかな。
ちなみに俺は無宗教だが、人の魂には辿り着くべき世界があり、セックスはその世界への身近な入り口で、快楽の段階で終わってはダメだと思っている。解脱プレイ。



■併載の『虫歯と優しさ』について■
歯の治療を受けながら、「私」は、恋人に振られかかっている現状に涙ぐむ……
これまた切ない話。でもすごく良かったなぁ。
俺を含め、日本人男性は愛情表現が下手だと言われているが、恋人のどこがどのように好きなのか、その切り口を知らないのではないかと思った。

そのことを 「私」 は↓のように言い表わしてくれている。
「私は、伊東さんのことを、頭が良かったり、面白かったりするから、好きだったんじゃないよ。冷蔵庫にハミガキ粉を入れているところが、本当に好きだったんだよ」

あぁ、そういうことか、魅力を感じる個性とかこだわりとか、そういう所を好きって言うんだな、と勝手に納得。
それならどんどん人を好きになれるし、ガンガン言いたくなっちゃうね。

2006年11月11日 23:12 
娯楽 (音楽・読書) | comments(2) |

ララバイSINGER

今年の紅白歌合戦で最も聞きたいのはTOKIOの「 宙船(そらふね) 」だ。
この曲は今年の俺的ベスト10に入っている。

しかしTOKIOは、作詞作曲した中島みゆき本人が歌うのを聞いたことがなかったという。(中島さんがあえてデモテープを他人に委ねた為)
Mステのアルバムチャート紹介時に、初めて聞いた長瀬君がエラく感動していたのを見て、是非とも借りたいと思った。

ララバイSINGER
タイトル: ララバイSINGER
歌手: 中島みゆき
1952年生まれ、1975年「 アザミ嬢のララバイ 」でデビュー。

1975年といえば俺の生まれた年だ。俺はこれまで、浸ったり遠ざけたりしながら中島さんの曲を聞いて来た。(初恋の人が同窓会の時のカラオケで、「 悪女 」を歌っていて複雑な気分になったりもした)

中島さんは31年の間にたくさんの曲を作り、たくさんの人を喜ばせ、縁談を諦め汗 近年は自分の仕事はララバイ(子守唄)シンガーと思うようになったのだという。
そしてこのアルバムで原点に還った。
なかなか興味深いではないか。

《 収録曲 》
1. 桜らららら
2. ただ・愛のためにだけ 【岩崎宏美への提供曲】
3. 宙船(そらふね) 【TOKIOへの提供曲/2006年の日本レコード大賞作詞賞】
4. あのさよならにさよならを 【華原朋美への提供曲】
5. Clavis-鍵- 【工藤静香への提供曲】
6. 水
7. あなたでなければ
8. 五月の陽ざし
9. とろ
10. お月さまほしい
11. 重き荷を負いて
12. ララバイSINGER


軽快なアコースティックギターと高音の歌い出しで1曲目が始まる。もうこれだけでヘンな緊張感が解けた。
更にアコギは支流に分け入るように気持ち良く転調する。それが2曲目の始まりだとはさっきまで知らなかった。
初期に作った曲と新曲が1つの曲のように聞こえる。30年ひとっ走りなのだ。
俺は個人的に、この構成センスに「 ナイス・トランス賞 」を贈らせてもらいたいと思った。

さて肝心の「 宙船 」はどうだろう。
皆に期待される中島節ではあるけれど、快か不快かで言えば、俺は不快の方だった。
きっと、神経質な犬に聞かせれば同調して吠えまくると思う。
長瀬君の爽やかな声で力強い歌詞を歌うのが、やっぱり新鮮味があって良いなと思う。


「 あなたでなければ 」は歌詞にドキリとさせられた。
あなたでなければイヤなんです
あなたでなければ駄目なんです
似たような人じゃなくて 代わりの人じゃなくて
どうしてもあなたにいてほしいんです


俺はこれまで、波長が合えばそれで幸せ、なんていう恋愛しかしたことがなく、憧れの人をゲットしたことはない。(当然昔は、振られた時に中島さんの曲を聞いたもんさ)
いつか別の機会に、最高の人と最高の形で巡り合えるものだと思って来た。
でも最近、憧れの人と付き合えたら最高だろうな、いきなり告白して驚かせてみようか、などと思うようになった31歳冬。もはや愉快犯ですよ。
そんな俺にはこの曲がサイレンのように鳴り響いたのだった。


9曲目、雰囲気はガラリと変わって、ユーモラスな感じの「 とろ 」。
トロかった中島さんの少女時代のあだ名だという。
しかし呼び掛けているのはその子でも動物でもないのは明らか。
俺はいつかきっと、この曲を思い出して口ずさむだろうと思う。
韻を踏み、繰り返す。言葉ってのはそれだけでもストレス発散(神経回路の修復)の手段になるのだ。
間に合わないって気持ち あなたにはわかるかい
追いつかないって気持ち あなたにはわかるかい
変わりたいと思った 全部変わりたいと思った……(中略)…
とろ、何とかならないか 考え考え日が暮れる
とろ、何とかならないか 考え考え日が暮れる




このアルバムで抜群に良いと思ったのが「 重き荷を負いて 」。
そのうちシングルカットされる予感がする、笑点のテーマ曲と掛け合いしたら面白いかも、などと思うのは俺だけだろうか。
サビ部分はエンヤコラセノドッコイセ的メロディーに乗せて
がんばってから死にたいな がんばってから死にたいな
と歌っている。

誰もが心のどこかに持っている気持ちだろうし、じつは花や虫にもそういう使命感があるのではなかろうか。
子供をなだめているようで自分の決意を固めている、これがララバイの真髄なのだと思った。

ドラマやドキュメンタリー番組のBGMに使うには臭いかもしれないけど、栄養ドリンクのCMならどうだろう。
浮かない表情で、歩道橋から夕日を眺めるビジネススーツ姿の女性。
まだ営業や接待が残っているのか、就職活動がうまく行かないのか、それとも失恋の傷を抱えながらコンパに臨むのか。
自分は目標に向かって手を尽くし、叶えたのか? 
納得する結果を得られたのか? 道の途中でコケてるだけじゃないのか?
頑張ってから死にたい、それまで死んでたまるか。
よし、この1本でとりあえず頑張りんこ。なんてねー。びっくり


トータルで見て、やっぱりシンガーソングライターは尊敬しちゃうな。
歌い方に幅がある中島さんは流石だと思った。(その点B'●やZA●Dはどうなのよ)
仕事納めの今日もバタバタしてたけど、とりあえず今年分の荷が降りた。
最後の曲「 ララバイSINGER 」を歌いながら帰って来た。


参考にしたサイト:読売新聞 / 産経新聞 / AOL Entertainment

2006年12月29日 23:47 
娯楽 (音楽・読書) | comments(8) |

読書:サラリーマン合気道

タイトル: サラリーマン合気道―「流される」から遠くに行ける
ジャンル: ビジネス・自己啓発
幻冬舎 /214ページ/¥ 1,575/08年9月10日発売

著者: 箭内道彦(やないみちひこ)
1964年福島県生まれ。CMプランナー、ディレクター、デザイナーからプロデューサーまで全てを自分で行う一人広告代理店。
主な仕事に、資生堂「uno」、森永製菓「ハイチュウ」、富士写真フイルム「PHOTO IS」など。他にサンボマスター、スキマスイッチなどのCDジャケットデザインも手掛ける。08年4月からNHK「トップランナー」のMCを務めている。


アイデアは書き留めない/目を見て話さない/同僚と仲良くしない/会議に参加しない/イエスマンになる/積極的に緊張する‥‥etc
本の裏帯には、ビジネスマンのお手本とされることの正反対の言葉が並んでいる。
実は箭内さん自身があがり症で、人の顔色を窺って過ごし、仕事に行き詰まりを感じて苦しんで来たのだという。
でもその状態が悪いとは限らないし、弱点だって生かして行ける、ということが実際の事例を豊富に盛り込んで書いてある。

金が無い為、読み終わったらブックオフ直行にするつもりで買ったが、当分手離せそうにない。
ちなみにこの本を読むまで箭内さんのことは全く知らなかった。



【なりたい職業より、やりたいこと】 の項が今の自分に最もありがく感じた。(以下、ざっくり抜粋)
ほとんどの人は動物が好きだから獣医・トリマーなど動物に関係した仕事を選んだり、数字に強いから会計の仕事を目指すといった具合に、「好きなもの」や「得意なもの」を根拠に仕事を選んでいるのではないかと思います。
しかし「好き」だったものが「嫌い」になるということはよくあることですし、「得意」だけで選ぶと仕事自体は器用にこなせるようになっても、ふと「一生この仕事をしていて自分は満足なのだろうか」という疑問に悩まされるようになる。
ですから、僕は「何をしたいのか」という根本的な質問を自分にした上で、仕事を選択するべきだと考えています。
《ここで藤田志穂氏の例を出して、人の喜ぶ顔を見たいという動機の上では、ディズニーランドで働くこともギャル社長になることも同じだと説く》
「人を楽しませたい」「人を助けたい」「何かを通してメッセージを発信したい」「世の中を変えたい」といった願望がまずあって、後から職種がついてくるほうが、仕事の幅も広がるし楽しいんじゃないかと思います。
就職とはそういう「やりたいことの根っこ」を探すことなんです。そう考えることでぐっと職業選択の自由度が上がる。

これを読んで、今まで仕事選びに難しさを感じていたのが晴れたし、俺は「何かを通してメッセージを発信したい」のは間違いないというのを確認できた。



【優先順位が低いものに時間をかける】 の項がエキサイティングだった。(以下同)
順位の低い小さい仕事から手をつけると、時間があるから丁寧にやる。その後で順位の高いものをやったとしても、大きい仕事だからやっぱり力を入れてしまう。
そうすると全ての仕事が並列になる。どれも大事だし、ちゃんとやりたくなる。
どの仕事も頭の中で常に動いている状態なので、仕事同士が結びつきすぎて、自分で頭を切り替えられなくなって来る。
「あれ、今俺楽しいんだっけ? 大変なんだっけ?」みたいな境地になって、大変なことも楽しいことの残像でできるようになってしまう。
つまり、面白いことは何倍にもなり、辛いことは分散されて、働くことがぐっと楽に、楽しくなってくるのです。


なんという境地。そんな状態を目指してみたいな。

2008年09月16日 21:14 
娯楽 (音楽・読書) | comments(0) |

手紙/東野圭吾

手紙 (文春文庫)
◆ タイトル: 手紙
◆ 著者: 東野圭吾
文春文庫/428ページ/06年10月発売

◆ あらすじ: 武島直貴の兄・剛志は、弟を大学に入れてやりたいという一心から、盗みに入った屋敷で、思いもかけず人を殺めてしまう。
判決は、懲役15年。それ以来、直貴のもとへ月に1度、獄中から手紙を送る剛志。
一方で、進学、恋人、就職と、掴もうとした人生の幸福すべてが「強盗殺人犯の弟」というレッテルによって、その手をすり抜けていく直貴。
日を追うごとに、剛志からの手紙は無視され、捨てられ、やがて…。



母が親戚から借り、面白いと薦めて来た本。
ドラマ「白夜行」の、あの皮膚が焼けるような緊張感に唸らされたクチだから、いつかは東野圭吾氏の作品に触れてみたいと思っていた。
その機会がこのような形で巡って来るとは思わなかった。

兄弟二人暮らしで頼れるものがなく、膝と腰が悪くて仕事に窮していたことが剛志の犯行に繋がった訳だが、この腰痛にまずは同情した。

俺も腰を痛めた時に、重い物が持てない、立ちっぱなしや長時間労働はキツい、かといって事務系の仕事は出来ない、というか力が抜けて何も出来そうにない鬱々…と、仕事探しに困ったことがある。
採用側も、腰に不安がある人は採りたがらないらしい。前の会社は腰を痛めて辞めましたーなんて言ったら、面接官の表情がみるみるうちに曇ったことが、そういえばあったっけ。

だからといって泥棒をしても良い理由にはならない。そこのところを
老婦人の優しそうな顔が頭に浮かんだ。彼女は有り余る金を持っているという話だったから、少しぐらい盗まれたところで大した痛手ではないだろう。いや、仮に盗んだのが自分のような人間だと知ったら、許してくれそうな気もした。
という論理に持って来ているのが上手いなぁと思った。
そう、ルールやマナーを守らない人って、悪いと分かっていても甘い考えでやっちゃうんだよね。

二度とそんな考えを起こさないように、厳しい自律心を身に付けさせるのが刑務所の役割の一つだろうけど、この本では刑務所は、社会とは切り離された、平和で能天気な世界に見えて来るのが斬新に思えた。

電話やメールなどのリアルタイムな交流は出来ないし、テレビや雑誌も閲覧を制限されている。思い出すのは昔のことばかり。
そんな閉鎖的な生活をして来た人が、出所して果たして世間に馴染めるだろうか。
ああやはり、一度でも刑務所に入ったら終わりかもなぁと思った。



弟の直貴の方は、幼いうちから苦労と衝撃の連続で悲惨だが、高校卒業→工場労働→大学の通信教育部に入学→通学課程に編入・卒業と、底辺からの脱出を成し遂げているので、小気味良くもあった。

直貴は電器店に就職し、パソコン売り場の担当になるが、兄のことを知られ、倉庫作業員に格下げされる。
「他の従業員が仕事以外のことで神経を使わねばならないようでは、お客さんに対して正常なサービスなどできないからね。」
社長はそうはっきり言う。
確かに、同僚の兄が凶悪犯罪を起こした受刑者で、いずれは出所して来ると思うと、落ち着けないだろうな。

「我々は君のことを差別しなきゃならないんだ。自分が罪を犯せば家族をも苦しめることになる‥‥すべての犯罪者にそう思い知らせるためにもね。」
社長が差別を肯定するなんて、と驚くが、一族吊るし上げは本当に犯罪抑止力が強そうだと思った。
って、そんなことは昔から当たり前のように行われて来たんだろうか。

俺は、ある種の差別は無くならなくても良いと思う。特に学歴差別。
勉強もせず、人の邪魔ばかりしていたヤンキーは一生惨めな仕事をしてて欲しい。
でも同時に、あんま金掛かんないで勉強できる世になって欲しい。


この小説を原作とした映画があるのを後で知った。主演は山田孝之だって。
見てみたい。

手紙/東野圭吾イメージイラスト

2009年04月24日 03:56 
娯楽 (音楽・読書) | comments(0) |

初雪のあとで

月末を挟んだ6連勤の最後の日は、寒波が過ぎ去って青空が広がっていた。
朝焼けで赤くなっている西の空では、月が太陽かと思うほど強く輝いていた。


通勤時はFMラジオの「クロノス」という番組を聞いている。
月曜から木曜は元サッカー選手の中西哲生、金曜はリサ・ステッグマイヤーがパーソナリティを務めている。
中西氏の強気かつナンパな喋り方は好きじゃないのだが、80〜90年代の名曲を紹介する「哲生’sリコメンド」というコーナーでは、懐かしさに意表を突かれ、聞き入ってしまうことが多い。

今朝はTMネットワークの「SEVEN DAYS WAR」が選曲されていた。(リンク先はライブ動画)

♪割れたガラスの破片 机の上のナイフの傷
 理由を話せないまま 閉ざされたドア叩いていた
 すべてを壊すのではなく 何かを捜したいだけ
 すべてに背くのではなく 自分で選びたいだけ
 Seven days war 闘うよ
 僕たちの場所この手でつかむまで


いや別に、現状に押し潰されそうになっている訳じゃないけど、この曲に慰められ励まされ、また1週間頑張ろうという気持ちになった。
そして開けた空が歓迎してくれているように感じた。

2009年11月05日 19:12 
娯楽 (音楽・読書) | comments(0) |

歌詞の一部から曲名を調べられるサイト

ここ1ヶ月程、ラジオで週1ペースで耳にする曲があって、聞く度に良いなと思うけれど、歌手名も曲名も分からないままだった。

男性ヴォーカルで、1つの楽章(?)で1つの時代を唄っていて、序盤は平坦なメロディーが続くけど、それが良い味になっている曲‥‥。
そこまでは分かるけど、曲を特定するには至らなかった。

そんなこんなで検索で煩悶している時に、歌ネットというサイトの歌詞検索のページを見つけた。
歌詞の一部から歌詞の全文や曲名、歌手名などを検索することが出来て素晴らしい。


あの曲はたしか歌詞に昭和○○年とか平成○○年とか年号があったハズだ、と思い、「昭和」で検索してみたら114件ヒットし、目的の曲が見つかった。
『人生という名の列車』という曲だった。

インターネットすごいな。

2010年02月14日 23:43 
娯楽 (音楽・読書) | comments(0) |

spacer